起算日は退職日ではありません
いつまでに出すのか
退職のあとに出てくる期限は3つあります。5日(資格確認書を勤め先へ)、14日(国民健康保険の届出)、20日(任意継続の申出)。 この3つはそれぞれ別の法令に書かれていて、日数も違います。 共通しているのは起算日で、いずれも退職日ではなく資格喪失日=退職日の翌日から数えます。
3つの期限と、その根拠
| 日数 | 誰が | 何を | 誰に | 根拠条文 |
|---|---|---|---|---|
| 5日 | 退職する本人(任意継続被保険者を除く) | 資格確認書を提出する | 勤め先(事業主) | 健康保険法施行規則 第51条第4項第1号 |
| 5日 | 任意継続被保険者だった人 | 資格確認書を返納する | 保険者(協会けんぽ・健康保険組合) | 健康保険法施行規則 第51条第2項 |
| 14日 | 世帯主 | 国民健康保険の資格取得届を出す | 住所地の市区町村 | 国民健康保険法施行規則 第3条 |
| 20日 | 退職した本人 | 任意継続被保険者になる申出をする | 保険者(協会けんぽ・健康保険組合) | 健康保険法 第37条第1項 |
5日が2つあるのは、立場によって相手が変わるからです。通常の退職なら勤め先へ、 任意継続をやめるなら保険者へ。どちらか一方しか自分には当てはまりません。 詳しくは 誰に返すのか をご覧ください。
起算日は「退職日の翌日」
被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に前条に該当するに至ったときは、その日)から、被保険者の資格を喪失する。 一 死亡したとき。 二 その事業所に使用されなくなったとき。 三 第三条第一項ただし書の規定に該当するに至ったとき。 四 第三十三条第一項の認可があったとき。
健康保険法第36条です。退職は第2号「その事業所に使用されなくなったとき」に当たり、 資格を失うのはその翌日と書かれています。 8月31日退職なら、資格喪失日は9月1日です。8月31日ではありません。
この1日の違いは、そのまま3つの期限すべてに乗ります。 退職日から数え始めると、14日の期限も20日の期限も1日早く見積もることになり、 「まだ大丈夫だと思っていた」という取り違えが起きます (逆方向にずれるより安全側ではありますが、正しくはありません)。
副産物として、もう1つはっきりします。資格を失うのが翌日である以上、退職日当日はまだ被保険者です。 その日に病院にかかっても、いま持っている資格で扱われます。
「◯日以内」の数え方は、条文に書かれていません
ここは正直に書きます。起算日を1日目として数えるのかどうかは、 上の3つの条文のどれにも書かれていません。一般則である民法を見ても、両方に読める余地が残ります。
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。 ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
民法第140条です。本文は「期間の初日は、算入しない」。 これに従えば、資格喪失日の翌日から1日目を数えます。 ところが、ただし書に「その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない」とあります。 資格喪失は喪失日の午前零時に始まると読めば、このただし書に当たり、資格喪失日そのものが1日目になります。
前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
第141条により、期限の日はその日が終わるまでです。 「14日以内」の最終日が9月14日なら、9月14日いっぱいまでという意味になります。
当サイトはどちらか一方に決めません。両方の日付を出して、 早いほうに間に合わせれば、どちらの読み方でも遅れないという形にしています。 解釈の正しさを主張することより、1日ずれても損をしないことのほうが、 読んでいる方にとっては大事だと考えたためです。 実際の窓口での数え方は、届出先の市区町村や保険者の案内に従ってください。
それぞれの期限の原文
5日 —— 健康保険法施行規則 第51条第4項
被保険者(任意継続被保険者を除く。以下この項において同じ。)は、次に掲げる場合においては、五日以内に、資格確認書を事業主に提出しなければならない。 一 被保険者の資格を喪失したとき。 二 被保険者の保険者に変更があったとき。 三 被保険者の被扶養者が異動したとき。 四 被保険者が共済組合の組合員の資格を取得したことにより、適用事業所(当該共済組合に係るものを除く。)に係る法第二百条第一項及び第二百二条の規定の適用を受けるに至ったとき。
14日 —— 国民健康保険法施行規則 第3条
法第六条各号のいずれにも該当しなくなつたため、被保険者の資格を取得した者があるときは、その者の属する世帯の世帯主は、十四日以内に、前条第一項各号に掲げる事項(被保険者の資格を取得した者の現住所及び従前の住所を除く。)を記載した届書を、当該世帯主が住所を有する市町村に提出しなければならない。
条見出しは「法第六条各号のいずれにも該当しなくなつた者に係る資格取得の届出」です。 国民健康保険法第6条第1号は健康保険の被保険者を適用除外にしているので、 会社を辞めて健康保険の被保険者でなくなった人は、この「該当しなくなつた者」に当たります。 届け出るのは本人ではなく世帯主だと書かれている点にも注意してください。
20日 —— 健康保険法 第37条第1項
第三条第四項の申出は、被保険者の資格を喪失した日から二十日以内にしなければならない。 ただし、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても、受理することができる。
ただし書があります。「保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の 申出であっても、受理することができる」。 受理するかどうかを決めるのは保険者で、認めさせる権利が本人にあるわけではありません。期限内に出すのが前提だと考えてください。
- 次に読む:翌日から何に入るのか — 14日と20日、先に来るのはどちらか。
- 退職日を入れて期限を出す