健康保険法施行規則 第51条 — 全文 862 字(空白を除く)
保険証を返す相手は、
協会けんぽではありません
「退職したら保険証はどこに返すのですか?」——返却を定めた健康保険法施行規則第51条を 全文取ってきて読むと、保険者(協会けんぽ・健康保険組合)へ返納する義務を負っているのは事業主、つまり勤め先の側です。 あなたに条文がかけている義務は「5日以内に、資格確認書を事業主に提出」。 相手は会社であって、協会けんぽではありません。自分で送る必要は、条文からは出てきません。 そしてこの条文には、もう「被保険者証」という語が1回も出てきません。
条文全文を走査した結果
2026-09-06 に e-Gov法令検索のAPIから取得した第51条の本文862字に対して、そのまま文字列を数えたものです。 要約でも解釈でもありません。字数の数え方は「条見出し「(資格確認書の返納)」から末尾まで、空白を全て除いて数えた字数」で、 同じ数え方をすれば誰でも同じ数になります。
| 数えた語 | 出現回数 | 意味 |
|---|---|---|
| 「被保険者証」 | 0 回 | いまの条文にこの語はありません。返納の対象として書かれているのは資格確認書のほうです。 |
| 「健康保険証」 | 0 回 | 法令用語ではないので、条文には出てきません。日常語としてだけ使われています。 |
| 「資格確認書」 | 8 回 | 条見出しも「資格確認書の返納」です。この条文が扱っているのはこの書面です。 |
| 「事業主」 | 3 回 | 返納の義務者として条文が名指ししているのは、この「事業主」です。 |
| 「協会」 | 1 回 | 出てきますが「協会に返納するときは厚生労働大臣を経由して行う」という、事業主のやり方の説明です。 |
| 「五日以内」 | 2 回 | 2か所あります。任意継続被保険者が保険者へ返す期限(第2項)と、本人が事業主へ提出する期限(第4項)です。 |
| 「遅滞なく」 | 1 回 | 事業主が保険者へ返納するときの速さ。日数ではなく「遅滞なく」とだけ書かれています。 |
2024年12月に紙の保険証の新規発行が終わり、条文の側も書き換わりました。 いま第51条が返せと言っているのは「資格確認書」で、しかも第1項第1号はその対象を「資格確認書の交付を受けているものに限る」と限定しています。 交付を受けていなければ、この条文が返却を求めている物はありません。 手元のカードに何と印字されていても、判断に迷うものは自分で捨てずに勤め先へ渡してください。
退職日を入れると、期限が出ます
期限の起算日は退職日ではなく資格喪失日(退職日の翌日)です。 ここを1日まちがえると、3つの期限がすべて1日ずれます。
退職日を入れる
最終出社日ではありません。在籍の最終日(有給を消化する場合は、その最後の日)です。
会社を辞めるだけならチェック不要です。チェックすると、条文上の返却先が「勤め先」から 「保険者(協会けんぽ・健康保険組合)」に変わります(第51条第2項)。
下の期限はすべて、退職日ではなく資格喪失日から数えています。 1日ずれると、期限もそのまま1日ずれます。
| 何を | 誰に | 早いほうの期限 | 遅いほうの期限 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 資格確認書を提出する 5日以内 | 勤め先(事業主) | 2026-09-05(土) 土日です。窓口は閉まっている可能性があります | 2026-09-06(日) | 健康保険法施行規則 第51条第4項第1号 |
| 国民健康保険の資格取得届を出す 14日以内 | 住所地の市区町村 | 2026-09-14(月) | 2026-09-15(火) | 国民健康保険法施行規則 第3条 |
| 任意継続被保険者になる申出をする 20日以内 | 保険者(協会けんぽ・健康保険組合) | 2026-09-20(日) 土日です。窓口は閉まっている可能性があります | 2026-09-21(月) | 健康保険法 第37条第1項 |
いちばん早く来るのは 2026年9月5日(土) の「資格確認書を提出する」です。任意継続の20日だけを見ていると、国民健康保険の14日が先に過ぎます。 どちらにするか迷っている間も、14日のほうは進みます。翌日から何に入るのか で2つの期限の関係を整理しています。
この表に「家族の扶養に入る」の期限が無いのは、日数を定めた条文をこのサイトの一次データに 入れていないからです。根拠のない期限を作らないために、空欄のままにしています。 扶養の手続きは、加入先の健康保険組合または協会けんぽに直接確認してください。
条文の原文(そのまま載せます)
要約すると意味が変わるところなので、2026-09-06 に取得した原文をそのまま置きます。 主語が誰か、相手が誰かを、ご自身の目で確かめてください。
健康保険法施行規則 第51条第1項 —— 保険者へ返すのは事業主
事業主は、次に掲げる場合においては、遅滞なく、資格確認書を回収して、これを保険者に返納しなければならない。 この場合(被保険者が任意継続被保険者である場合を除く。)において、協会に返納するときは厚生労働大臣を経由して行うものとする。 一 被保険者(資格確認書の交付を受けているものに限る。以下この条において同じ。)が資格を喪失したとき。 二 被保険者の保険者に変更があったとき。 三 被保険者の被扶養者が異動したとき。 四 第二十九条の二第一項の届出を行うとき。
主語は「事業主は」です。回収して、保険者に返納するのは勤め先の仕事だと 条文が書いています。文中に「協会に返納するときは厚生労働大臣を経由して」とありますが、 これも事業主がどう返すかの説明です。
健康保険法施行規則 第51条第4項 —— あなたの相手は事業主
被保険者(任意継続被保険者を除く。以下この項において同じ。)は、次に掲げる場合においては、五日以内に、資格確認書を事業主に提出しなければならない。 一 被保険者の資格を喪失したとき。 二 被保険者の保険者に変更があったとき。 三 被保険者の被扶養者が異動したとき。 四 被保険者が共済組合の組合員の資格を取得したことにより、適用事業所(当該共済組合に係るものを除く。)に係る法第二百条第一項及び第二百二条の規定の適用を受けるに至ったとき。
退職する本人にかかっている義務はこれだけです。5日以内に、資格確認書を「事業主に」提出する。保険者に送れとは書かれていません。
健康保険法施行規則 第51条第2項 —— 任意継続だけは相手が変わる
前項の場合において、被保険者が任意継続被保険者であるときは、当該被保険者は、五日以内に、これを保険者に返納しなければならない。
例外はここだけです。任意継続被保険者にはもう勤め先がないので、 本人が5日以内に保険者へ直接返します。
健康保険法 第36条 —— 資格を失うのは「翌日」から
被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に前条に該当するに至ったときは、その日)から、被保険者の資格を喪失する。 一 死亡したとき。 二 その事業所に使用されなくなったとき。 三 第三条第一項ただし書の規定に該当するに至ったとき。 四 第三十三条第一項の認可があったとき。
退職は第2号の「その事業所に使用されなくなったとき」に当たり、資格を失うのはその翌日です。つまり退職日当日はまだ被保険者で、 その日までは資格確認書が使えます。すべての期限もこの翌日から数えます。
第51条は全部で5項あります。ここに載せたのは退職に関係する4項ぶんです。 残り(第5項=死亡した場合)を含む全文は e-Gov法令検索の健康保険法施行規則で読めます。当サイトが取得に使ったAPIの呼び出し先は こちらです。
もう少し詳しく
- 誰が、誰に返すのか — 本人・事業主・任意継続の3通りを、条文の項ごとに並べています。
- いつまでに出すのか — 5日・14日・20日がどこに書いてあるか。「◯日以内」の数え方が2通りある理由。
- 退職日の翌日から、何に入るのか — 国民健康保険と任意継続で期限が違う理由と、先に来るほうはどちらか。
- よくある質問 — 全14問。答えはすべて条文の範囲で書いています。
出典
このサイトに出てくる条文・日数は、すべて 2026-09-06 に e-Gov法令検索の 法令API(v1)から取得したものです。取得できなかった場合はビルドを止めているので、 古い引き写しが画面に残ることはありません。
- 健康保険法(大正十一年法律第七十号) — 第36条(資格喪失の時期)/第37条(任意継続被保険者)/第51条の3
- 健康保険法施行規則(大正十五年内務省令第三十六号) — 第29条(資格喪失の届出)/第47条(資格確認書の交付等)/第51条(資格確認書の返納)
- 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号) — 第5条(被保険者)/第6条(適用除外)/第7条(資格取得の時期)
- 国民健康保険法施行規則(昭和三十三年厚生省令第五十三号) — 第3条(資格取得の届出=14日以内)
- 民法(明治二十九年法律第八十九号) — 第140条(期間の起算点)/第141条(期間の満了)
- 厚生労働省 医療保険 — 制度全体の公式案内